飛電或人vsトニー・スタークfeat.桐生戦兎
わかる人だけ聞いてくれればいいんですけど
『ゼロワン』の設定って『アイアンマン』パクってますよね。
みなまでいうな!ネタバレをするつもりは無いし一個一個論うつもりもない。
何故?こんな記事を書くのか
仮面ライダーサウザーは、或人と全く同じ「社長で仮面ライダー」という属性を持ち、自ずと、或人を相対化していく…はずだったのですが…
新年度に入り、ただのスカッとジャパニズム要員に成り下がったので、ここは天下のMCUからアイアンマン/トニー・スタークさんに出張ってきてもらって、社長ヒーローのなんたるかを示してもらいましょう(笑)
〜唐突!自分語り
僕はライダーオタクの癖に所謂「男の子が好きなもの」がそこまで好きじゃなかったりする。
車とか電車は小さい頃から全く興味が無いし、戦争モノとかガンダムとかも大人になるまで殆ど触れてこなかった。
何が言いたいかと言うと、自分がアイアンマンに惚れているのは、そのメカニカルで洗練されたデザインのパワードスーツに対してでは無いということ。
あくまでアイアンマンというキャラクター、トニー・スタークという人間の生き様が好きなので、これに関しては保障しておきます。
もちろん「マーク5の装着シーンが燃える!」とかは普通にわかるよ!スタークエキスポで僕と握手!
vs
S.H.I.E.L.D.
Artificial Intelligence Military Service
名前の由来は宇宙船のインタビューによれば2号ライダー、3号ライダーが銃を使うことが決まっていたため英単語の「aim(狙いを定める)」から。ちょうどAIも含まれていたからともしている。
ミリオタが5秒で考えたみたいな名称。
大森 A.I.M.S.に関しては、AIが普及してる世界なので当然管理する側がいるでしょうね、ということで世界観を拡張させる意味合いもあって設定しました。
(大森敬仁『東映ヒーローMAX vol.60』より)
世界観を拡張、出来てましたか?
A.I.M.S.は今や天津垓の私兵と化してますよね?そもそもこんなパチモン警察を設定したから、本物の警察機構が存在しない倫理崩壊太郎な世界観が出来上がってるんですよね?
AIの普及率だってロクな描写がないからよく分からないしな。
世界観と言えば聞こえはいいけど、そのよく分からない世界の曖昧な設定の弛みを逃すためのブラックボックス。都合良く登場人物を動かすための建前でしかない。
Strategic Homeland Intervention, Enforcement, and Logistics Division.(戦略国土調停補強配備局)マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)における設定
テレビドラマ『エージェント・オブ・シールド』の第1話で、「『S.H.I.E.L.D.』は何の略?」「誰かがどうしてもイニシャルが『shield』という綴りになるようにしたかった」という会話シーンがあり、この誰かというのがトニー・スタークの実父ハワード・スタークなんですな。
ほら、もう世界観を拡張してる感じがするね?
因みにシールドの創設メンバーにはハワードの他、キャプテン・アメリカの恋人ペギー・カーター『エージェント・カーター』がいる。
大森 絶対に女性ライダーが欲しい、ということでもなく、あくまで企画ありきで、職業ものである以上は当然、男女関係なくいるべきですよね。
(大森敬仁『東映ヒーローMAX vol.60』より)
このシールドこそ『アイアンマン』『キャプテン・アメリカ』『マイティ・ソー』というMCUの映画群を繋ぎ、『アベンジャーズ』結成まで至らしめた、なくてはならない組織、もとい設定であるわけで。
シールド長官/ニック・フューリー
シールドというか画像のアイパッチのオッサンはアベンジャーズを作ろうとしていて、『アイアンマン』のエンドクレジットシーンでは「ヒーローは自分だけだと思っているのか?」とか意味深台詞を投げかけてくるんだけど、
『アイアンマン2』ではめちゃくちゃ絡んできます。ハワード・スタークがトニーに遺したビデオレターを届けてくれて、精神的にも肉体的にも腐ってたトニーにパワーアップの切っ掛けを与えてくれるんだよね。
『アイアンマン2』はマジで平成ライダーの2クール目みたいな話だから。修行回だから。
え?親子二代で地球を消し去った🌏?悪魔の科学者がいたって?
うっ…頭が…旧世界の記憶がァ…
やめよっかこの話
ヒューマギア
vs
ウルトロン
「ウルトロン」とは2作目のアベンジャーズ集合映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に登場するAIロボット。
トニーは外宇宙から迫る脅威(サノス)に対する対抗策としてウルトロンを作ったのだが、ウルトロンは自分に課せられた「平和を守る」というプログラムから、広大なアーカイブにアクセスして「人類の戦争の歴史」をラーニングしたのち負のシンギュラリティに達して「人類は滅亡すべき」となってしまったのである。
◆滅亡迅雷の場合
衛星アークから「人類は滅亡すべき」とプログラムされており、「人類は滅亡すべき」と思っている。シンギュラリティには達していない。
◆一般マギアの場合
シンギュラリティに達したところにゼツメライザーを装着され「人類は滅亡すべき」となる。
or
疲れからか、黒塗りの衛星アークに接続してしまい「人類は滅亡すべき」となる
◆チェケラの場合
目の前で「汚職政治家のお食事会」をラーニングしたのち負のシンギュラリティに達し、ちゃぶ台を返し、「汚い人間は滅びろ!」と思っているところにゼツメライザーが転がってきて自分で装着した。
うん!チェケラが一番ウルトロンに近いな!
ウルトロンってトニーに作られたんだけど、トニーのことが大ッ嫌いで、わざわざアベンジャーズ達がパーチーしてる前に現れて宣戦布告しちゃうような、人間臭くて可愛い奴なんすよ。
そもそも人間型のボディを形成してることだってコンプレックスの塊である証明(アイアンマンに似てると言われるとキレる)で、作中でもわざわざ「生物学的には人間の身体は効率が悪い」と突っ込みが入っている。
高橋 近代的なテクノロジーを扱った「SF作品」というガワになるんでしょうけど、結果すごく人間臭い話になると思っています。なぜなら、AIって「人っぽいもの」を作ろうとしているわけじゃないですか。それは突き詰めれば「人とは何か?」というところへ行き着きますよね。人間の定義、概念、哲学……と、油断してると高尚な話になっちゃうけど、心の話をどこまで掘り下げられるか。それが『仮面ライダーゼロワン』のひとつの大きなテーマになっていくのではないでしょうか。
…は?
ギャグ
vs
皮肉
トニー・スタークという人物を1行で表すとしたら「天才・金持ち・プレイボーイ・博愛主義者」だろうか。
このセリフは映画『アベンジャーズ』でトニー自身から発せられた台詞で、キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースから「パワードスーツを脱いだら君には何が残る?」と詰められた際、間髪入れずに返した皮肉混じりの台詞なんですよね。
それは誇張表現でもなんでもなく、トニーは実際に天才発明家兼慈善家であり、17歳で MITを首席卒業し、21歳の時、父親のハワード・スタークが遺した巨大軍需企業「スターク・インダストリーズ」を継いだCEOといった人物。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)内での活躍年齢は30代後半から40代後半という設定のオジサンヒーローです。
トニーの魅力はその弱さにあると思うんですよ。
アベンジャーズのBIG3に数えられ、MCUに於いても間違いなく中心人物ではあるのですが、ヒーローとしては完全無欠・高潔なキャプテン・アメリカが先に居ますし、戦力としても神であるマイティ・ソーや超人ハルクには到底敵わない。アイアンマンは本当に「高性能スーツを着た、ただの人間」なんです。
「僕は全部金出して、設計して、演出してるだけ」
トニー・スターク『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
常にジョークを飛ばしたり皮肉を返したりするのだって、自分を保つため、自信のなさの表れのようにも見える。
アイアンマンになった経緯である胸のアーク・リアクターは、心臓に食い込みそうな爆弾の破片を電磁石で引っ張る生命維持装置であり、トニーは常に死の恐怖に晒されながら戦う。己の死に悩み、世界平和に悩み、恋に悩み、チームに悩み…
天才で金持ちの社長でもその傲慢さから孤立したり、ウルトロンを作ったことで世界を壊しかけたりしてしまう。人間として不出来だからこそ人間らしいキャラクターなんですよ。
ところで、飛電或人も亡き祖父から巨大企業を継いだ社長ヒーローですね。そういえば。
飛電或人さん曰く、
― そこからなぜ仮面ライダーゼロワンになったのでしょうか?
転機は「飛電インテリジェンス」を経営していた祖父の急死です。祖父の遺言で会社を継ぐことになって…あまりに突然のことでしたし、僕には「お笑い芸人として世の中の人を笑顔にする!」という大きな夢があったので、最初は断りました。でも「お笑い芸人としてみんなを笑顔にするのも、社長として、仮面ライダーゼロワンとしてみんなを守って笑顔にするのも、人を幸せにするという意味では変わらないな」と気づき、社長業を引き受けたんです。
飛電インテリジェンスの社長には仮面ライダーゼロワンの変身資格があり、社長に就任することはつまり「仮面ライダーゼロワンになる」ということでもありました。そこから仮面ライダーとしての活動が始まりましたね。
https://www.persol-group.co.jp/special/workstyle-award/winners/interview7/index.html
いや、0から笑いを生み出す芸人と仮面ライダーは違うよね。
-1の状態から0に戻して「笑顔を感知しました^ ^」はねぇよ。
という突っ込みはさておき、『プレジデント・スペシャル』でも「理念に共感した」みたいな中身の無いことを言ってたし、つまりは、脚本的に社長にしておいた方が動かし易いからその役を設定したに過ぎないんだよね。
でもこれって実はトニー・スタークもそうで、軍事産業で得た莫大な富があるから好き勝手にアイアンマン・スーツを作れるという説得力のための社長業で、自分の会社の兵器が悪人に密売されてると知るや否や軍事産業を撤退し死の商人としての過去を清算するべくヒーロー業を始めるワンマン経営ぶり。社長としての人格は求められていないのだ。
或人のアイデンティティを探るには「社長」というポジションよりも「芸人」という個性の部分を掘った方が良いということだね。うん。
ー主人公が「お笑い芸人」というのも大きなフックになっていますね。
高橋 この設定は大森さんです。
大森 まずは人間とアンドロイドの対比を描く上で、「感情を持たない機械」と「お笑い」という、振り幅として一番距離のあるもの同士をかき混ぜようと思ったのがひとつ。それと、戦いを描く番組なので、どうしても暗くなりがちなんですね。そんな中、1人バカをやってる人間がいる構図も面白いかなと。「社長」にすることが決まった時点で「“お笑い”はなくてもいいんじゃないか?」という議論が何回も交わされました。僕自身もそう思うターンがあったりして、けっこう悩んだんですけど。
(大森敬仁『東映ヒーローMAX vol.60』より)
あっ、なくてもいいわ
まとめると
飛電或人、というか『仮面ライダーゼロワン』の問題点は「人間を描けてない」こと。
本当はこれアイアンマンを引き合いに出さずとも、平成ライダーでは少なくともやれていたことだと思うんですよね。
いや「或人は実はヒューマギアだったんだ!衝撃の事実!excite!excite!」とか冗談抜きでマジで人間味が無い。キャラというか主張はブレまくりだけど。脚本の都合で動かされてね。可哀想に。。
最初から今まで「俺はヒューマギアの父さんに育てられた」の一点張りだし。それでもバックボーン全然足りてないよ。
この先の1クールで或人がシンギュラリティに達するようなことが有れば起こしてください。
ー主人公の飛電或人(ひでん・あると)をはじめ、主要な登場人物と、それぞれの関係性についてはいかがですか?
高橋 どういう人物になるかは今後膨らんでいく部分なので、最初の時点ではそれほど決め込まずにしておきたい、というのがあります。
^^;